ぼくの本棚177:日本人のしきたり by 飯倉晴武
今年もいろいろなことがあった。来る2008年の干支は子(ね)になる。子は物事が終了して一から始まることを意味する。干支に限らず日本人の生活の中には様々な意味が隠されている。例えば正月に供える二段の鏡もちは、円い鏡の形に似ているところから呼ばれていると思うが、実は人の魂や心臓を真似てまるく作ったことが始まりだ。二つ重ねるのは陰陽を表している。元旦に飲む甘いお屠蘇も元々は薬酒で、めでたいから飲む日本酒とは違い「悪鬼を屠り(ほふり)死者を蘇らせる」つまり不老長寿の意味として飲んでいたのだ。正月七日に七草(セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ)がゆを食べるのも、栄養補給をすると一年間病気にならないからで、正月の暴飲暴食で七日頃に胃腸にやさしい食物を摂りたくなるからではない。本書には行事・縁起などに隠された意味がたくさんあり読むほどに楽しい。日本のしきたりをまだ知らないという貴兄には正月というタイミングはいい機会だろう。
編集長 尾中謙文
Text by onaka
