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ぼくの本棚 47:苔のむすまで by 杉本博司

2007.03.22 Thursday

NY在住のアーティスト杉本氏はただものではない。一万年以上の歴史観を持ち、神とは何かについて人に伝える術を知っている。たった一つの言葉で呪縛が解かれたり、ビジュアルとの出会いで閃きを与えられたりすることは、一生の間に偶然、何度か思いがけずある。杉本氏の中にはアートが生まれる根源的な時代、場所、人の位相の扉が多元的無数にあり、今そこに存在している。「最も古いものが、最も新しいものに変わる」のは、そのせいだ。杉本氏の生み出すものは境目が無く制限も無い。美しいものが必然的に美しくある。しかし、その厳しく隙間の無い美とは対称的に、言葉にならない優しい暗黙知が読後に薫る。美の心地良さ、暖かい安堵感を陰陽に生み出すアーティストを、杉本氏以外に僕は知らない。

編集長 尾中謙文

Text by onaka

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