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ぼくの本棚 103:脳と仮想 by 茂木健一郎

2007.06.15 Friday

脳科学者・茂木健一郎氏の仮想、認知に関する考察は、自分の脳の構造を客観視しているようで楽しい。「ある体験から心に傷を受ける、ということを別の言葉で言い換えれば、その体験によって生じた脳の中の神経細胞の活動によって、脳が再編成を余儀なくされるということである」日常で起きるあらゆる刺激は、その日が過ぎると不思議なほど覚えていない。一週間前に食べた昼食など全く記憶に残って無いことが多い。にも関わらず、クラッシックのコンサートで味わった感激や美術館で一度しか観ていない美しい絵画は何年経っても色褪せず、まるで昨日のことのように思い出せるのはなぜか。「記憶の対象の取捨選択は、脳の扁桃体を中心とする情動系と、海馬を中心とする記憶系の相互作用によって行われていると考えられる」今までなかった体験や、新奇性があり自分にとって価値のある情報だけが、脳を傷つけるのだという。「素晴らしい経験をすると、自らもそのような何かを生み出したくなる。脳は傷つけられることがなければ、創造することもないのである」

編集長 尾中謙文

Text by onaka

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