BLOG | WHITEHEAD April:2008

ぼくの本棚213:アラブの大富豪 by 前田高行

2008.04.25 Friday

世界最高級のホテルが立ち並ぶドバイは、
今や世界中から猫も杓子もここを目指すくらいブームになった。
ほんの10年前、僕がドバイ国際空港新設のプレゼンで王子に呼ばれた時は
本当に何もなかったのが不思議な位だ。いや、まだまだこの一年はすごいことになる。
世界初の海中ホテル・ハイドロポリスや世界一高いビル・ブルジュドバイができるからだ。
しかもここは、UAE(アラブ首長国連邦)のほんの一部、埼玉県くらいの広さでしかない。
なぜ今オイルマネーがすごい勢いで流れているのか。原因は2001年911のテロにある。
アラブの投資家の多くは米国でのんびり運用していたが、
テロによる米国民の反イスラム、反アラブの感情が、
米国から膨大なオイルマネーを一気に引き上げるきっかけをつくってしまった。
現在の悲しいまでのドル急落がオイルマネーの移動量の激しさを物語っている。
「湾岸産油国には所得税がない。しかも医療費や教育費も無料である。
ガソリンも日本の5分の1以下、ミネラルウオーターよりも安い」平均所得は当然日本より高い。
こんな国がいま世界中に学生を留学させ、教育に一番力を入れている。
低収入、高税率で疲弊する日本の未来をあなたは誰に託すだろうか。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚212:思考の補助線 by 茂木健一郎

2008.04.23 Wednesday

野村証券が事故をおこした。他の証券会社であればこれほどの衝撃はない。
知の偽装で儲けた金は4000万円。庶民にはほど遠い金額だ。
3人の犯人は京大 OBの中国人。日本人ではないことでホッとしている人もいるだろう。
しかしこれほどの重要なポストを任せたのだ。もはや人種の話ではすまされない。
茂木さんは脳学者として日本で一番売れっ子の知識人。
驚異的な深い知識、専門性に加えて、好奇心、コミュニケーション力の確かさ、
未来学に及ぶ守備範囲の広さは、バラエティで活躍する小器用なお笑いタレントの比ではない。
本来アカデミズムとはこういう人を指すのだ。茂木さんは本書で
「金儲けによって得られる快楽は、真の知的興奮に比べれば、興ざめかつ薄味の偽物にすぎない」と
切り捨てている。
知の多様化によって脳内快楽がどんどん薄められ、興奮をお金に求める人が増えている。
「うちの会社に限って」という驕り、自己陶酔が日本最大手の証券会社になかったか。
人間的資質(正義感、正直さ、誠実さ)を軽視し、
「売れることこそが正義である」という経済原則の中で、
裏でわからなければ何をしても良いという感覚が拭いきれない金融の現状は、
今後、どうしたら正常に機能するのだろうか。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚211:道路問題を解く by 山崎養世

2008.04.22 Tuesday

山崎さんから新作が届いた。
山崎さんは2002年にゴールドマン・サックス投信の社長を辞めた後、シンクタンクを立ち上げ、
様々な提言を行っている。本書もその一つだ。
山崎さんは「ふるさとから日本復活を」するために道路をタダにすべきだと言う。
そもそも日本より道路予算が少ない英国や独国で、
高速道路がタダだという論理は政治家より明快だ。
高速道路の最大の問題点は借金が多いことだ。なんと40兆円もある。
とうてい返せそうに無い借金なのに、国土交通省の中期計画では、
さらに40兆円を借金して新たな道路をつくる予定だ。
では日本に無料の高速道路網が実現したらどういう社会になるのか。
米国のようにフリーウェイで全国自由に行き来し、地方の経済効果が驚異的に上がるのだろうか。
それとも高速の出入り口が「21世紀の駅前」になるのだろうか。
確かに、もし高速道路が生活道路に変われば、
それぞれの地域のビジネスや生活スタイルは、多大な影響を受けるに違いない。
ただし問題は、この病んだ仕組みを根底から変える気が、国民にあるかないかだ。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚210:古代への情熱 by シュリーマン

2008.04.21 Monday

人は必ず挫折する。何度かの挫折に耐えきれず、目標に到達できないこともある。
また情熱があっても、諸処の事情で中断することもある。それは何年たってもトラウマのように残る。
しかし、そんな時本書を読むと「あきらめる」ということが根本的に間違いだったことに気づく。
シュリーマンは1822年ド イツで生まれた。
少年時代に父から聞いた「トロイア戦争」のことが忘れられず、金のゆりかご、銀の皿、
へニングの途方もない財宝とトロイアの都をいつ か発掘しようと心に思う。
シュリーマンはひどい貧乏だったが、一心不乱に勉強し、半年で英語を覚え、
次の半年で仏語をマスターした。そんな風にオラン ダ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、
スウェーデン語、ポーランド語、ギリシア語を次々にマスターした。
その後、商才にも恵まれ、世界中をめぐ り様々な商売で莫大な利益を得た。
1868年、46才になっていたが、トロイアのことはまだ忘れていなかった。
そして、ついに空想上の産物といわれた ホメーロスの事跡を発掘する。
あきらめずに努力を重ね、思い続ければ願いはいつかは必ず叶う。
これが嘘でない証拠に、偉人の多くは長い年月をかけ目標に近づき、
苦労に屈することなくこれを乗り越え、ほぼ同様の体験をしている。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚209:FBIアカデミーで教える心理交渉術 by ハーブ・コーエン

2008.04.18 Friday

FBIでは交渉術がないと生きていけない。
冷戦時代からソ連相手に鍛えられた知的力学と、
長年の経験をもとに作り上げられた交渉術には、
犯罪からビジネスまで様々なことを解決するノウハウが詰まっている。
では交渉の秘訣とは何か。
情報量の差・時間の制限・合法的な権力がキーポイントなのだという。
相手の譲歩の幅から許容限度をはかり、相手の欲望を分析し、
是が非でも対立関係の中で勝つための合意形成が必要なのだ。
本書にはその情報収集法から「らち」があかないときの交渉戦術までケーススタディがたっぷりある。
CIAやFBIのプロの交渉技術を学びたい諸兄には必読の書だ。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚208:時の運 人の縁 by 野田一夫

2008.04.09 Wednesday

久しぶりに野田先生とお話をさせていただいた。
野田先生は日本を代表する智慧の巨人、フューチャーリストとして、
多くの経営者に高い志と、経済的合理性の心髄を植えつけた人だ。
またその一方で齢80を過ぎても、春風のような暖かさと、
わくわくどきどきするようなサプライズ感を常に持っている不思議な方だ。
このみごとなバランス感覚はどこから来るのか。
野田先生は「現実を直視すること」だという。
「現実の中に、常に未来への兆しがある」のだと。
野田先生は東大工学部から文学部に転じ、マックス・ウエーバーの社会科学を学んだ。
MITに国費で招かれ、カルチャーショックを受けたことがきっかけで、
帰国後、日本総研、ニュービジネス協議会、平河町クラブ、シティクラブ・オブ・東京、
多摩大学、宮城大学など、あらゆるジャンルの社会的事業を立ちあげた。
本書のタイトル通り、社会でイノベーションを起こすためには「時の運」を捉えるための物理的準備と、
「人の縁」に恵まれるための、気さくな人づき合いが不可欠だ。
野田先生が日本に紹介し、経営の神様といわれたピーター・ドラッカーとは、登山仲間の親友になった。
しかし本当のドラッカーは神様などではなく、
講演の壇上で裸足になるような、実に気さくな人だったという。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚207:理性の奪還 by アル・ゴア

2008.04.07 Monday

ゴアはハーバード大卒業後、従軍記者としてベトナム戦争に行き、戦争の悲惨さをいやというほど経験した。だからこそアブグレイブ収容所で行われた人権、人道を無視した過酷な取り調べや拷問には、ことのほか目が鋭くなる。
民主主義とは何か。人間が理性を保ち、正常な思考力と判断力を持ち、分別、良識に基づいて考え、行動することができる状態だ。そして、これこそが合衆国憲法最大の美点のはずだ。その米国があろうことか、ブッシュの一存でイラク戦争を始めたのだ。当時のテロ対策大統領補佐官は、911はアルカイダの仕業でイラクの関与では無いと否定し、CIAはイラクの証拠がないと警告したのにも関わらず、ブッシュがこれを無視し開戦したことで、3000人の米国人と数万人のイラク人の命が失なわれた。
本書にはその時のホワイトハウスが克明に描かれている。しかも驚くべきことに、戦後の計画はイラク侵攻中も全く無く、チェイニー副大統領らはイラクの石油省の施設を確保し、埋蔵石油をいかに獲得するかを企む。裏ではエンロンやエクソン・モービルが暗躍する。バクダッド政府は2007年、イラクの埋蔵石油開発を米英の石油会社に与えた。米国は7000億ドルという莫大な経費を使って得た石油開発権とは裏腹に、2008年石油の高騰で物価も高騰し、皮肉にもサブプライム問題によって金融システムさえも決定的な打撃を受けていく。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚206:ソース/あなたの人生の源は、ワクワクすることにある by マイク・マクマナス

2008.04.04 Friday

最近、労働の質が落ちているという話を経営者からよく聞く。多くの人がやる気の無いまま仕事をし続けている。能力が無いわけではない。ではやる気が出ないのは何故か。良い営業成績や良い結果を早く得ることばかり求め、仕事にワクワクするような素直な感情や、興味や好奇心が起きる純粋な気持ちを切り捨て、周囲や会社に合わせ、自己を押し込めなければならないからだ。それでもサラリーが右肩上がりで上昇しているうちは、お金で別の快楽を得ればバランスはとれていた。いまや年収は下がる一方で、物価はどんどん上がる。年金も見えない。こんな状況で自分らしい生き方をするのは、どだい無理な話かもしれない。しかしマイクは、失業と金欠の経験から、人生の一番どん底の、最もひどい状況の時こそ、自分がワクワクする、夢中になれる、幸せな気持ちにさせてくれることを一途に実行することが、劇的に状況を好転させるだという。自分がワクワクすることをすべて発見し、自分や人のために無条件に使うことで、肉体が活性化し、チャンスが引き寄せられ、お金があとからついてくるのだという。本書は、人は考え方ひとつで人生が根本から変わり、幸せになれると言っている。ひとりひとりの心の中が幸せでなければ、オリンピックや世界平和など絵に書いたモチのようなものだ。動乱や戦争の無い社会をつくるためにも、少しでも多くの人をワクワクさせたり、元気の出ることを考え、社会でこっそり実行したいと心から思う。

編集長 尾中謙文

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