ぼくの本棚 167:イラク占領 by パトリック・コバーン
2007.12.10 Monday
あらゆる武力戦争はいったん起きると嘘も真実も見分けがつかなくなる。聖戦をしている政治家は説明責任に追われる。つじつまが合わなくなった関係者は辞めていく。すでに終わっているはずの戦争はなかなか終わらない。イラク国内の大部分は平和であると主張し続けたアメリカの力はとうに限界を越えている。勝利宣言をした後の戦死者の方がなぜか多い。シーア派によるスンニ派の民族浄化は長期に泥沼化している。無知による宗教戦争は憎悪の炎が絶えるまで殺戮が繰り返される。内戦が長引くほど超大国アメリカの地位はダメージを受け続ける。イラク戦争のドキュメンタリーが世界中で数多く出版され続ける中、コバーンのレポートだけが際立って優れているのはなぜか。ここには虚飾も大げさな表現も無く、ただ高質な真実だけが積み重ねられているからである。
編集長 尾中謙文
Text by onaka