BLOG | WHITEHEAD September:2007

ぼくの本棚 152:私の手が語る by 本田宗一郎

2007.09.21 Friday

本書は僕のバイブルの一冊だ。気分が萎えた時読むとやる気がみなぎってくる。「私は他人の真似をするのが大嫌いである」その頃のオートバイメーカーは外国のエンジンをそっくり真似ていた。本田はそれがイヤだという理由だけでオリジナルのエンジンをつくるイバラの道を歩むことになる。「真似をして楽をしたものはその後に苦しむことになる。一度真似をすると、永久に真似をしてゆくのである」本田はその後、オートバイレースのワールドグランプリ全階級を制覇し、4輪のF1グランプリに移ってからもその勢いは止まらなかった。「目先の成績にこだわり、独自の哲学にもとづく創意をすこしでも放棄するような考え方が生まれたとき、企業は転落と崩壊の道をたどりはじめるだろう」自分にとって一番大切なことは何だろうか。その貢献と成果は何だろうか。あなたは一生かけて何に取り組み、何を信念にしているだろうか。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚 151:ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く by リサ・ランドール

2007.09.20 Thursday

いま物理学は大転換期を迎えている。これまで我々は次元は3つだと信じ込まされてきたが、最近の物理法則の研究から異次元が存在することがわかった。SFのように空間に別の次元が存在するらしい。リサ・ランドールはハーバード大の物理学教授だ。素粒子、ひも理論、宇宙論が専門で今ノーベル賞に最も近い。もし我々が多次元に生きているとしたら、タイムマシンの話もマトリクスの話もテレポーテーションの話も夢ではなくなる。最近暗い話が多かったが未来が少し明るくなってくる。ランドールの素晴らしい点は、余剰次元の時空構造をイメージしたのではなく、実際に計算して偏微分方程式で解いたことだ。不可能といわれたことに果敢にチャレンジする人の姿は、この上なく素晴らしく美しい。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚 150:一万年の旅路 by ポーラ・アンダーウッド

2007.09.18 Tuesday

インディアンは昔ベーリング海峡が陸続きだった頃、アジア大陸からアメリカ大陸へ渡って来たモンゴロイドだということが、近年のDNA調査で明らかになった。インディアンはネイティブ・アメリカンと呼ばれ、その発祥は遥か一万年前に遡る。本書は一万年以上前にイロコイ族がアジアを旅立つところから始まる、一族の口承史だ。DNA鑑定をするまでもなく口承内容は緻密で、一万年以上たった今でも生々しい。果てしない旅を続けた末、一族は北米の五大湖にたどりつく。イロコイ族の血を引くアンダーウッドの描写は、先祖への敬意に満ちている。ハイテクノロジーなどかけらも無く、口承だけで一万年も前の先祖を語れるネイティブ・アメリカン。テクノロジーの塊の中で生きながらコミュニケーションが無くなる日本人。あなたは何世代前まで先祖を遡ることができるだろうか。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚 149:ウオーター・ビジネス by 中村靖彦

2007.09.14 Friday

世界中の砂漠化が進行している。とりわけ中国では人口増加や森林破壊により黄河流域が干上がる現象が起き、生態系が変わりつつある。水資源が豊かな日本は、都心部を除けば今でもきれいな地下水や井戸水を飲む人は多く、まさか水を買って飲む時代が来ようとは、かつては誰も思わなかった。いま、ペットボトル水を扱うウオーター・ビジネス企業の半分が山梨県に、さらにその半分は白州町に集中している。なぜか。白州町の水量は圧倒的に多く水もおいしいからだ。著者は加熱する水資源の獲得と企業の利権競争に疑問を投げる。「水はいったい誰のものか」本書はさまざまな角度からウオーター・ビジネスのデータを収集分析し、水資源を独占しようと狂騒するウオーター・メーカーとその水を買い続ける我々に警鐘をうながしている。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚 148:政治と情念 権力・カネ・女 by 立花隆

2007.09.13 Thursday

安倍総理大臣が辞任をして政局が変わろうとしている。政治家には大別して二通りある。私利私欲を切り離して国事を優先するタイプと、資産形成に執着してなんでも金儲けのネタにしてしまうタイプだ。政治家としてどちらが幸福なのか知る由もないが、客観的冷静さをキープできるバランスと調整能力が、延命する政治家の特徴であることは疑いない。本書は田中眞紀子を分析しつつ、角栄型の肉欲的政治家の本質を追求する生々しいドキュメンタリーだ。権力とカネ、女と裏切り、昼間のソープドラマと変わりない人間の情念が満ち充ちている。最近のあきらめの早い総理大臣に人間臭さが無くなってきたのか、昔の総理大臣が人間臭すぎたのか。いずれにせよ日本の行方は次の総理大臣の手にかかっている。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚 147:BMW物語 by デイビッド・キーリー

2007.09.12 Wednesday

電車を始めとしたあらゆる交通網が発達した日本にいると、自動車が「第二の家」という表現はピンとこない。移動手段が限られるドイツではアウトバーンの速度制限が無い。200キロ離れた場所で一時間後に会議があるエグゼクティブは多いし、早く安全に「移動できるオフィスや応接室」としてベンツやBMWは必需品だ。BMWはバイエルン発動製作所の略称でプロぺラをイメージしたマークの通り、もとは飛行機のエンジンを造っていた腕のいい職人集団だ。創業者たちのスピードにかけた想いも時代とともに変化し、自動車産業は今や世界経済を牽引する人類の知恵の結晶となった。その中でBMWは要として最先端の科学の粋を集め、未来の革命的デザインを具現化してきた。本書にはF1を始めすべてのモーターシーンを制覇し、世界中を熱狂させたBMWのスピリッツとノウハウが詰まっている。BMWが培ってきたものは「駆け抜けるよろこび」だけではない。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚 146:DNA by ジェームス・D・ワトソン

2007.09.11 Tuesday

クローンビジネスやDNA鑑定でマスコミが賑わう時、DNAの価値やDNAがヒトに関する莫大な情報を持っていることを初めて知る人は多い。しかしワトソンがDNA二重らせん構造を発見したのは実に50年前のこと。バイオテクノロジーや組み替えDNAの倫理問題で世界で大騒ぎになっている時も、日本のマスコミは静かだった。ワイドショーではあまりにも高度だし、ジャーナリズムには残念ながらDNAのスペシャリストがいない。DNA投資は米国に集中しているから頭脳が日本にいないのは当然なのか。本書では遺伝暗号が解読され、DNAが生命活動を制御する仕組みが明らかになる過程が詳細に描かれている。ワトソンは本書でヒトゲノム解読の塩基配列でやみくもに特許を取るものを厳しく批判している。人間とは何か。その答えを見つけるための分子レベルの遺伝研究が、金儲けの対象であって良いはずがない。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚 145:99.9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 by 竹内薫

2007.09.10 Monday

人は必ずまちがいを犯す。その多くは常識、先入観、固定観念による思い込みが原因だ。本書を読むと世の中の情報のほとんどが仮説で成り立っていることがわかる。なぜ飛ぶのかわからない飛行機に我々はいつも乗っている。手術で麻酔を使うがなぜ効くのか実はまだ解明されていない。サルが進化してヒトになったというがだれも見たわけではない。ピラミッドだって王墓だというが本当のところだれも知らない。宇宙の起源も地球の起源もみな仮説だ。つまり自分が見たことも聞いたこともない他人の仮説を信じ込んでいるわけだ。「科学とは、いちばん新しい仮説の集まりにすぎない」という竹内氏の柔らかアタマは、我々に常識を疑う技術とタブーに挑戦する勇気をあたえてくれる。

尾中謙文

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ぼくの本棚 144:未来を予測する技術 by 佐藤哲也

2007.09.07 Friday

2002年NYタイムスで激震が走った。原因は日本が生み出した革命的コンピューター「コンピュートニク」がSF映画でみる頭脳を持った未来予測型コンピューターそのものだったからだ。これさえあれば、科学的信頼性と信憑性のある地球規模の予測が出来る。未来予測の範囲は気象予測、地震予測、経済予測、環境問題、自然災害など様々だ。日本では「地球シュミレーター」と呼ばれている。このコンピューターの生みの親の佐藤氏は「信じられる未来」にこだわる。「物欲と同じく、情報に対する執着も、供給過剰になれば興味は薄れる。あっという間に世界を覆いつくした情報網により、今ではコツコツと独自の方法で情報収集して何かを学び取るという行為が希有のものとなっている。好奇心の泉が枯れかかっているのではないかと思うくらいだ」想像力と人間性こそが未来を創る鍵だ。人が未来を選択するためには、人と地球の未来をポジティブに予測し、信じられる未来を創るためにチャレンジを続けることしかないのだ。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚 143:決断力 by 羽生善治

2007.09.06 Thursday

羽生善治は不世出の将棋棋士だ。今世紀中に羽生を超える逸材はおそらく出ないだろう。中学生でプロ棋士になり、96年に王将位を獲得後、名人、竜王、棋聖、王位、王座、棋王と「七大タイトル」全てを初めて独占した将棋界のスーパースターだ。勝ち続ける羽生のアタマの中はどうなっているのか。「追い込まれた状況からいかに抜け出すか。人間は追い詰められた経験をしなければダメだということもわかった。追い詰められた場所にこそ、大きな飛躍があるのだ」と孤独な戦いの中で起きる状況を客観的に鮮明に語る。「山ほどある情報から自分に必要な情報を得るには「選ぶ」より「いかに捨てるか」の方が重要なのだ」と戦いの形成が展開する中、同時進行で起きる情報に依存するのではなく、考え実践し、検証反省し、学びの蓄積の経験の中で情報を捨て、決断し続けることが勝利につながると本書で言っている。羽生の言葉は平易で奥行きが深く内容は面白い。21世紀的知性とはこういうものなのだろうか。

編集長 尾中謙文

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