BLOG | WHITEHEAD July:2007

ぼくの本棚 118:心の深みへ 「うつ社会」脱出のために by 河合隼雄/柳田邦男

2007.07.11 Wednesday

「ユビキタスは本当に人を幸せにするのか」というテーマで2年間、最先端の科学者、建築家、哲学者、実業家たちとサミットをやったことがある。状況認識の自動化という先端の科学技術が利便性を追求していった先に、人が真に幸福になるという因果関係が成立するのかという答えを知りたかったからだ。僕らは人生の過程に意味のある偶然を求めて生きている。物質的豊かさだけでは、人が必ずしも幸せにならないことは歴史が証明している。コンピュータ万能の便利な世界がさらに発展していった未来に、人間の心や精神性といった内観に幸せを感じる人はいったい何人いるのだろうか。本書で語られる「科学技術と人間の精神の間のアンバランス」の中で、著者たちはその答えを暗示している。

編集長 尾中謙文

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚 117:自燈明 捨てる自分、活かす自分 by 玄侑宗久

2007.07.10 Tuesday

自燈明(じとうみょう)とはお釈迦さまが死の直前、弟子が何を頼りに生きたらいいのかという問いに答えた言葉である。「汝自身を拠り所(燈明)にせよ」とはどういうことなのか。自分を調えて生きることなのだと著者は言う。著者は臨済宗の住職である。お釈迦さまによると「自分を調えること」には瞑想がいいらしい。「瞑想とは頭の中に言葉が浮かんでいない状態です。そんな経験がある方も多いと思いますが、それを意識的に続けていくのが瞑想です」心静かに思慮することが、最近あっただろうか。心はのびやかに広くあるだろうか。もう少し自分について考えることを始めてもいい時かもしれない。

編集長 尾中謙文

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚 116:ジャンボジェットを操縦する by 岡地伺朗

2007.07.06 Friday

以前、セスナを操縦していた時、飛行機は風の影響を受けやすく、実に不安定でコントロールしにくい乗り物だと思っていた。しかし本書を読んで、改めてジャンボジェットはなんて素晴らしい乗り物なのかと思う。以前は見学させていただいたコクピットも、テロが頻発し残念なことに見る機会は無くなった。本書には最新鋭のコクピット内の機長の全記録がある。出発点検、計器の読み方、操縦桿の操作、管制塔との交信など、映画「エアポート」シリーズを観ていた方なら、その臨場感は理解できるはずだ。空に浮くジャンボジェットの巨体の重さはどれくらいかご存じだろうか?ほんの400tである。
編集長 尾中謙文

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚 115:アインシュタイン150の言葉 by ジェリー・メイヤー&ジョン・P・ホームズ

2007.07.05 Thursday

「長い舌を出したおじいさん」の写真であまりにも有名な、茶目っ気たっぷりの天才アインシュタインは、1905年「ブラウン運動の理論」「光量子仮説」「相対性理論」という3つの論文を発表し世界を驚愕させた。1921年ノーベル物理学賞を受賞。1933年ヒトラーが政権をとった時、ドイツから米国に移住し米国籍を得た。徴兵や軍備に反対し、生涯平和主義を貫き、ナチスに対抗するため米国に原子爆弾をつくるよう提言したが、皮肉にも日本で原爆が使われることになった。戦後、核兵器廃絶を訴え続けたが1955年に逝去した。「国家は人のために存在するのであって、国家のために人が存在するのではない」政治家の方はアインシュタインが言った意味がおわかりになるだろうか。

編集長 尾中謙文

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚 114:工場萌え by 石井哲/大山顕

2007.07.04 Wednesday

いま工場、コンビナート鑑賞が密かなブームになっていることをご存じだろうか。本書は「工場好きによる工場好きのための、工場地帯の歩き方」の写真集だ。ガスタンクやコンビナートのライトアップされたわくわく感は実際に見た人でないと通じないものがあるが、映画の中で「ブレードランナー」の工場や「ターミネーター」の溶鉱炉に凄みを感じた人はけっこういるのではないか。たしかに化学プラントの巨大なパイプや複雑な構造物にはSF的近未来を彷佛とさせるものがある。僕はユーミンの「埠頭をわたる風」を聞きながら夜中にドライブし、東京湾の工場地帯を密かに歩いた記憶がある。むき出しの巨大構造物の間を歩くと広大な敷地に人影は無く、無機質なシステムが無人で動き続けているメタリックな光景に、僕は自分の無力さを映しだされたような空虚感を感じていた。

編集長 尾中謙文

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚 113:論語と算盤 by 渋沢栄一

2007.07.03 Tuesday

いまどき論語と思われるかもしれない。しかしネットの進化とともに「道義と仁義」なるものはリアル世界から姿を消して、代わりに「亡者と守銭奴」が跋扈するようになった。忙しい亡者は心を亡くしている。世の中はスピードが極端に早くなり、じっくり考え結論を出すことが無い世界になった。熟考しない結果、唖然とする位、関係希薄な人間社会が浸透し始めた。奇しくも本書で渋沢翁は「我々は金を貴で善用することを忘れてはならない。実に金は貴ぶべくまた賎しむべし、これをして貴ぶべきものたらしむるのは、ひとえに所有者の人格によるのである」とお金に対する人格と修養について注意している。「よく集むるを知りてよく散ずるをことを知らねば、その極、守銭奴となるから、今日の青年は濫費者とならざらんことを勉むると同時に、守銭奴とならぬように注意せねばならぬのである」義理合一の信念と道理を亡くし、集金が好きな若者ばかり増えていくのは何故なのだろうか。

編集長 尾中謙文

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚 112:リクルートのDNA by 江副浩正

2007.07.02 Monday

政財官を巻き込み、当時のNTT真藤会長、藤波官房長官らが逮捕され、宮沢大蔵相辞任、竹下内閣崩壊に発展した「リクルート事件」をはじめ、時代の様々なシーンに登場する江副氏とはどんな人物なのか。大阪生まれの江副氏は、東大在学中に求人広告を手掛け、23歳で求人広告会社を創業。成功する起業家の見本みたいな人だ。江副氏の素晴らしい点は「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」を社是に、「誰もやっていないことをする主義」「分からないことはお客様に聞く主義」「ナンバーワン主義」などドラッカーを尊敬しながら、具体的行動指針を経営理念のモットーにして人を育てたことだ。また様々な事業を手掛けながら、そこに留まることなく、常に上を目指し、事業を拡大させ統合する力を持っていたことだ。起業家は時代の寵児となった江副氏を目指し、世間はベンチャーとはこういうものかと驚嘆の眼を向けた。唯一最大の失敗だった「事件」に本書は触れていない。上を目指し続けることは正しい選択だったのか。江副DNAをもったリクルート出身者がいつか答えを出してくれるはずだ。

編集長 尾中謙文

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 3

<< 1 2

PAGE TOP

CHANNEL INDEX