2007.04.27 Friday
パリコレでは良いデザイナーが育つ。それはファッション関係者だけでなく、パリに住むフランス人の鋭く厳しい目によって叩かれ、昼夜洗練し続けるからだ。パリのファッションを求める人達は、何世紀にも渡りデザイナーに、教養、センス、服装史、服の構造に深い造詣を要求し、先端を極めてきた。ごちゃごちゃしたディテールにごまかされない目と、常に時代をリードする新しい才能を求めるのだ。欧米では豊富な知識を持つ評論家を、デザイナーが驚かすのは容易ではない。尚且つデザイナーは文化の維持に貢献し、活性化できる人物でなければならない。「東コレを特集記事として取り上げる欧米のファッション誌はほとんどない」 日本がこのままパリの真似をし続けるのは容易なことではない。デザイナーの使命とは何なのだろうか。
編集長 尾中謙文
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2007.04.26 Thursday
サイエンスライターの中には科学と哲学を混同している人が多い。特に量子論、現代物理学、宇宙の問題となると、もはやサイエンスではなく、フィロソフィー・ライターになってしまう。なぜか。ライターが興味深い科学テーマを、感覚印象だけで捉え、自分のイメージと現実の往復をするうちに、事実や真実からどんどん離れていってしまう。ミイラ取りがミイラになるわけだ。ダン・フォークは科学を冷静に捉え、複雑な理論を出来る限り単純な法則に置き換えることができる、本質を見抜くライターだ。本書は科学の最前線にある、物理学や宇宙の原理について、様々な角度から情報を探り、著者が納得できる話だけを、読者にわかりやすく伝えようと格闘している姿が見える。
編集長 尾中謙文
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2007.04.25 Wednesday
ガネーシャはインドで最も大衆から愛されている神だ。象の顔を持ち、でっぷりと太っているメタボな様相だが、歓喜と創造をもたらし、成功を呼ぶ。シヴァ神(破壊と生命の源)という気性の激しい二重神格の父とは正反対の、平民に優しい神なのだ。しかも知性も金運もあるとくれば、大衆に愛されないわけがない。しかし、本書はそうした現世利益とは無縁な人生訓を、ガネーシャを通じた瞑想の中から得て、平易な言葉で著わした哲学書だ。「生きることは行動すること」や「思ったことだけが実現する」ことなど、諸事悩ましい出来事に、プラス思考で生きたいと考えている方にはもってこいの良書だ。
編集長 尾中謙文
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2007.04.24 Tuesday
ドラッカーで「マネジメント」に目覚めた方は多いと思う。もしドラッカーが存在しなかったら経済と哲学を繋ぐブリッジが無いまま、経営者の多くは悩み続けたに違いない。人間には社会における位置づけと役割があるとドラッカーは言う。だからこそ、その枠組みの中で、目的、目標が生まれ、理念や理想が必要になる。社会のために個人が存在するのではない。社会の観点から個人の存在を見たり、逆に個人の観点から社会を合理的に理解する。個人と社会の間に、機能上明確な関係が無ければならない、というドラッカーの発想は20世紀の経営を飛躍的に発展させた。むしろこれは発明に近い。フロイト、ヒトラー、ケインズにも影響を与えた、「お金儲けの話」など無い思想に、日本の若者は興味があるだろうか。
編集長 尾中謙文
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2007.04.23 Monday
新興市場で伸びている会社の人と話をすると、500億とか1000億を儲けるとかいまだに威勢の良い話がでる。市場の期待や株主の圧力にも問題があるのだろうが、売上スケール自体が目標になってしまい、そのお金をどう使い、世の中にどう循環させるのかという話を聞いたためしが無い。本書はそんな方々に是非読んでいただきたい。しかも100円というわずかなお金で、世界に変化を与えることができる。例えば100円で、ミャンマーの子供5人にワクチン接種を受けさせ、ポリオから守ることができる。100円といえば日本ではお風呂を沸かすガス代だ。これなら自分にもできると思う。例えば100円でアフガニスタンの子供5人に、国語や算数の教科書を提供できる。こんな素敵な発想が次々に現れ、心が豊かになる本だ。しかし本書を読み、考えるだけで行動できない人は、世界を変えることよりまず自分を変えることだ。
編集長 尾中謙文
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2007.04.20 Friday
3世紀もの間解けなかった数学の問題「フェルマーの最終定理」は、テーマ自体完全に理解できる人はほとんどいない。問題の起源は古代ギリシャ、ピュタゴラスの定理に遡る。ルネッサンス時代、近代数学の父と呼ばれたピエール・ド・フェルマーは、2000年前ギリシャ人が問わなかった問題を問い、世界一の難問を生み出した。アンドリュー・ワイルズは10歳の時に、町の図書館でこのパズルに遭遇した。以来これを解くことが彼の夢となり、様々な試練を乗り越え、30年後の1993年、ついにパズルを解くことに成功する。本書は数世紀に渡り数学者を虜にした定理にチャレンジする数学者を捉え、難解な定理を、あらゆる角度から克明に描いた良質なドキュメンタリーである。
編集長 尾中謙文
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2007.04.19 Thursday
LVMHと聞いて「ははあ」と思った方はかなりのブランド通だ。LVMHとはモエ・へネシー&ルイ・ヴィトンの頭文字を逆順にしたものだ。LVMHはモエ・シャンドン、ドン・ペリニヨン、ヘネシー、ヴーヴ・クリコなどの銘酒が中心で、ルイ・ヴィトン、ロエベ、セリーヌ、ベルルッティ、クリスチャン・ディオール、ジバンシー、ケンゾー、クリチャン・ラクロワ、フェンディ、ダナ・キャラン、ゲルラン、タグ・ホイヤー、エベル、ショーメなど世界中のあらゆるファッションブランドを傘下におさめ、その規模は1兆円を超える。本書はブランド買収と再構築を中心にした、経営者アルノーへの徹底的なインタビューを試みた、ブランドビジネスを目指す人のバイブルといえるだろう。
編集長 尾中謙文
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2007.04.18 Wednesday
記憶に残る政治家とはどんな人物だろうか。優秀な人だろうか、無能な人だろうか。例えば総理大臣ならと考えると、最近記憶に残っている人は中曽根康弘と小泉純一郎しかいない。金丸氏以降、自民党が分裂し10年で10人の総理大臣を交替する事態が起き、国民はそれ以降、政治に醒めてしまった。過去の総理大臣をたどると吉田茂、岸信介、佐藤栄作、田中角栄など善悪は別にして、記憶に残っているのは政策ではなく、その人柄だ。本書では不世出のキャラクターをもつ中曽根氏の政治観が、余すところ無く描かれている。総理大臣の資質を始めとした鋭い分析と大局観のある視点は一読に値する。
編集長 尾中謙文
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2007.04.17 Tuesday
以前、国政選挙の戦略を衆院選、参院選と立て続けにやったことがある。運良く二回とも勝つことができたが、多変量解析からゲーム理論まで世界中のあらゆる戦略を研究し尽くし、最適なものを実戦したからこそ成功したのだ。本書はそうした過去からの戦略を学び、解釈し、整理するには絶好の書である。戦略書における名言を遍しているのも良い。戦略とは戦いを省くことで、理論はともかく、無駄な戦いをしない計画こそが最も優れた戦略であることは言うまでもない。
編集長 尾中謙文
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2007.04.16 Monday
革命家チェ・ゲバラのことを耳にしたことがある人は多いはずだ。チェの顔は知性があり、誇り高い自信と人なつこい魅力に満ち溢れている。「酒は飲まない。タバコは吸う。女を好きにならないくらいなら、男をやめる。だからといって、あるいはどんな理由があっても、革命家としての任務を最後までまっとうできないならば、僕は革命家であることをやめる」チェを少し紹介しておこう。エルンスト・ゲバラ・デ・ラ・セルラはブエノスアイレスに生まれた。『チェ』はキューバ人同志がつけたあだ名だ。ブエノスアイレス大学を出て医者になるが、本好きの子供の頃から、喘息のため父にスポーツを勧められ、水泳、乗馬、サッカー、ラグビー、卓球、狩猟、飛行機の操縦、ゴルフに腕を上げた。キューバ革命にゲリラの軍医として参加し、キューバ人革命家カストロと出会う。ハバナで勝利した。なぜチェが魅力的なのか。本書を読めばきっと味わうことができる。
編集長 尾中謙文
Text by onaka
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