BLOG | WHITEHEAD

ぼくの本棚256:奇跡の脳 by ジル・ボルト・テイラー

2009.05.11 Monday

ハーバードの女性脳科学者ジルが37歳で脳卒中に襲われる。
普通の人ではない。脳について誰より詳しい世界的権威の脳科学者だ。
彼女の左脳は機能しなくなり、言語、身体ともダメージを受け、
回復の見込みすらないという悲劇的な状況になった。
しかしその後、本人の記憶を辿っていくと、その間とても不思議なことが起きていた。

「わたしは永遠の流れに漂うような幸福感が大好きでした。
好きにならない人なんているかしら?そこはとても美しいんだから。
魂は輝き壮大で平穏でした。
至福の時に包まれた恍惚状態の中では、
回復することにどんな意味があるのか真剣に考えざるを得ませんでした」

彼女は脳卒中で言葉がしゃべれず動けない時、なんと幸せだったというのだ。
それだけではない。
その中では深い安らぎがあり、魂と宇宙の一体感さえあり、
感情が自制でき、世界観までが変化していた。
8年後、ジルは手術とリハビリによって奇跡的に回復する。
そして、左脳が動かなかった間、負の感情を持った人が治療をすると辛く感じ、
愛や喜びという感情こそが、人にいい影響を与えることもわかった。
また左脳が回復するにつれ、感情を自分でコントロールするより、
他人のせいにする方が自然に思われたのだという。
本書には、脳卒中の回復のためにどうやって病状を理解してもらいたかったか、
という脳科学者ならではの不思議で貴重な付録がついている。
あなたは感情の行方を他人のせいにしていないだろうか。
あなたは本当の自分についてどれくらい知っているだろうか。

編集長 尾中謙文

にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚255:図で考える人は仕事ができる by 久恒啓一

2009.04.24 Friday

久恒さんとお会いした。日本航空で広報課長のあと大学教授になられた方だ。
JALの広報を自然体でこなすことが、どれくらい大変な仕事なのか部外者には知る由もない。
広報だから媒体に精通しているのは当然だが、
航空情報に正確性が欠けただけで地球的規模で大混乱がおきることは確かだ。
図を使って全体と部分を瞬時に把握することで、全体でゆっくり流れている時間と限界領域や、
部分的に早く詳細に動いている次元や空間を、凝縮して正確に把握することができる。
どう伝えるか、いかにわかりやすく伝えるかを、
いつも繊細に考え抜いている久恒さんだからこそ出て来る発想だ。
ビジュアル化された図が論点を発見し、問題解決や創造性を促す。
情報をデザインするとはこういうことなのだ。
みんなが図解思考になれば、効率が良くなるだけでなく、
コミュニケーションは心地良いスピードで相互理解が進み、もっと楽しくなるに違いない。
久恒さんは将棋のたとえで「下手な者ほど局部の利益にとらわれる」といっているが、
大局観の無い人は、本書をよく読み図解思考を身に付けると、
急に視界が開け大きな利益が目の前にあることに気づくはずだ。

編集長 尾中謙文

にほんブログ村 本ブログへ

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚254:サラサラの組織 by 富士ゼロックスKDI/野村恭彦・仙石太郎・荒井恭一+紺野登+荻野進介共著 野中郁次郎+小林陽太郎監修

2009.03.23 Monday

日本の「組織」に所属する多くの人は、自分の組織に無関心か、
無関心を装っている場合が多い。なかなか組織を比べる機会もないし、
一度会社に入ったら忠誠を誓うことが美徳であるよう洗脳される。
会社には絶対逆らってはいけないと。
悪い組織に長くいる人ほど精神的なダメージが蓄積され、
さらに優秀な人ほどそれを認めないので、やがて組織には救いが無くなる。
本書には、ドロドロな組織をどうやってサラサラの組織に変えたのか事例が山ほどある。

あなたの職場でワクワクする知的活力が低下したら少し気をつけたほうがいい。
一日会社にいて誰とも対話がないとか、
隣人とメールでしか会話していないとか、
愛が欠けてはいないだろうか。
組織には共生と循環と多様性があるだろうか。
社会との接点はあるだろうか。
職場は志を持ち、何かに情熱を傾けているだろうか。
あなたにとって組織とは何なのだろうか。
組織変革を本気でしたい人に勇気を与えてくれる良書だ。

編集長 尾中謙文

にほんブログ村 本ブログへ

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚253:はじめて英語で日記を書いてみる by 石原真弓

2009.03.13 Friday

あなたは日記をつけたことがあるだろうか。それは継続しているだろうか。
小学校で英語を教えると学習時間が無くなるとか、
日本語の基礎ができてから英語を勉強しないと美しい言葉がしゃべれない、
などとまことしやかな話が囁かれている。
しかし、21世紀のアジア全体で起きるグローバル化は、
そんなゆっくりした英語化を待ってはくれない。
困るのはアジアの壁が無くなった、未来の日本の子供たちである。
英語は対話の道具だから、本来通じれば良いのであって、その先は本人のやる気次第だ。
しかし「日本で英語を習う限り通じる会話はできない」と
米国の友人に言われたことが妙に耳にこびりついている。
多くの日本人は中学高校と6年間、大学を入れると8年くらい「受験英語」をやっているが、
「英語で話すコツ」すらつかめないので対話にならないのだ。
では日本人は、なぜ人生の多くを英語に浪費しなければならないのか。
やはりどこかおかしい。
その後、社会人になっても、英会話に投資し続けている人は圧倒的に多い。
本書は、そんな人にとって「自分を伝えること」の英語表現のコツが簡単につかめる入門書だ。
毎日英語で日記をつけるだけでいい。
とにかく書くだけ。
1、2行でいい。
間違っていてもいい。
お金もかからない。
大切なのは続けることだけ。
石原さんの教え方は「もう一度英語をやり直したい」という人にとって、
単純明快でわかりやすい。
しかし継続すればできるようになるのは、なにも英語に限ったことではない。

編集長 尾中謙文

にほんブログ村 本ブログへ

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚252:部下を定時に帰す仕事術 by 佐々木常夫

2009.03.12 Thursday

佐々木さんから新著をいただいた。
佐々木さんは経団連理事や東レ経営研究所社長として
「ワーク・ライフ・マネジメント」を実行されている。
しかし、これは単に時間通り帰るというきれいごとではなく、
佐々木さんにとって、うつ病の妻と自閉症の長男を守るために考え出した、
究極の仕事術であり最大時間効率を貫き通した結果だ。
本書は、業務の無駄を洗い出すことで業務を半減させたり、
全体のストーリーがわかる計画書の作り方や、
見通しが立たない難しいケースはとりあえず始めてみて修正をする方がいいことなど、
内容が具体的で、すべては時間短縮と効率に結びつく。
これは全て、佐々木さんが自分の家族を守るために現場で鍛え上げたもので、
決して座学ではない。

またトップの責任についても触れている。
トップは事業の目指すべき方向性がかたまるまでは、
ライン現場に仕事をおろしてはいけないというのだ。
個別に事業を積み上げてトップが議論する会社が多いと思うが、
時間効率が悪いし、間違った「選択と集中」が起きてしまう。
マーケット、競争相手、技術力、営業力をトップが冷徹に評価し、
徹底的な収益改善をした上でないと、
将来性がある事業を簡単に切り捨てる愚を犯してしまう危険があるからだ。

前著「ビッグツリー」も面白かったが、
本書も一気に読めるスピード感と現場智の迫力に満ちている。

編集長 尾中謙文

にほんブログ村 本ブログへ

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚251:クラウド・コンピューティング by 西田宗千佳

2009.03.11 Wednesday

クラウド・コンピューティングという言葉をご存じだろうか。
Web2.0の次にくると聞いて「ああ、またか」と思う方も多いかもしれない。
記号論に振り回されると、ブームが去ったとたん空しさと疲れを感じる経験は誰しもある。
しかし一方で、暗黙知のままではわからなかったことが、記号化され、形式知になった途端
世界のメインストリームになり、眠っていた多くのチャンスが時限発動することもある。
クラウド(雲)とは利益を生む巨大な恵みの雨、レインメーカーのことだ。
しかもその向こうにはどれだけの富があるかまだわからない。
この、まだわからないものが数年前から静かに動き始め、もう富の一端はそこまで来ている。
これまでのライバルを蹴落とし続ける競争原理の可笑しさから、
共創し同じゴールを目指す方が巨大な富になることに気づいたものが
一抜けする新しいゲームだ。
はたしてクラウドはブーム(一過熱)からトレンド(時代波)になるのか。
21世紀初頭、利益の勝敗で始まったゼロサム社会が、心の豊かさや本質に目覚め、
22世紀に向け真の共創社会を築けるかが、ITの分野でも今試されている。

編集長 尾中謙文

にほんブログ村 本ブログへ

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚250:Hot Pepper ミラクル・ストーリー by 平尾勇司

2009.02.19 Thursday

平尾さんはホットペッパーをたった4年で売上300億、利益100億の事業に育てたすごい人だ。
何がミラクルなのか。
それは人の扱い方にある。
平尾さんの話は、面白くていつも感心させられるが、
人を採用する方法、やる気にさせる方法、
皆が思いつく小さいアイディアを形にし、他の社員に楽しく共有させる方法など
「行動の仕組み化」の魅力にこと欠かない。
本書は何度読み返しても新しい発見があり、ためになり、楽しい。
成功は平尾さんの人柄や考え方にも通じるところがある。
急成長したことがミラクルなのではなく、地道な毎日の行動をどう楽しく営業させるか、
どんな工夫をこらせばいいチームワークがつくれるかを、
いつも考え続けることができるリーダーを育てることこそが成功の実体なのだ。
結束の強い組織は簡単に壊れないし、事業変革は壊れない組織だからこそできる。
不況の最中、事業再編に取り組む経営者も多いと思うが、
人を育てない無茶な変革は砂上の楼閣にすぎないことを本書で学ぶべきだ。

編集長 尾中謙文

にほんブログ村 本ブログへ

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚249:伝説の外資トップが説く リーダーの教科書 by 新将命

2009.02.18 Wednesday

新(あたらし)さんに交詢社でランチをご馳走になった。
交詢社は「知識ヲ交換シ世務ヲ諮詢スル」と言った
福沢諭吉が創立した日本最初の社交クラブだ。
真のリーダーとは何か、新さんのお話をお伺いすると、今まで見えなかったものが見えてくる。
新さんはシェル、コカコーラに勤め、ジョンソン・アンド・ジョンソンの社長の後、
フィリップスの副社長、ホールマークの社長と、
40年以上も外資でビジネスのプロとしてやってこられた希有な経歴の方だ。
尊敬するヒューマンで懐の深い、暖かいお人柄だけではなく、
ビジネスへのこだわりは、剃刀の刃ように、繊細で鋭い切れ味をお持ちであることが
本書を読むとよくわかる。
タイトルの「外資」というと金融のイメージが強いが、
本書はグローバル企業のリーダー秘伝の書といった方がいい。
企業というものはリーダー以上にはならない。
何故か。
企てを業とするリーダーの絶妙なバランスと、部下を育て、組織を引っ張る
リーダーの器以上には、ビジネスが育たないからだ。

編集長 尾中謙文

にほんブログ村 本ブログへ

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚248:オバマ勝利の演説 by ジェームズ・M・バーダマン

2009.02.13 Friday

米国の公民権運動のきっかけは、
14歳の黒人ティル少年がリンチによって殺されたことから始まった。
首に有刺鉄線を巻かれる残忍な殺され方だった。
J.F. ケネディ大統領の時代、ほんの半世紀前だ。
リンカーンによって奴隷解放はされたが、黒人はバスで同席すらできなかった。
そんな時、26歳のキング牧師が始めた抗議デモは、
6万人の白人も巻き込み25万人を越えるが凶弾に倒れる。
オバマの演説にはこんな背景がある。
オバマの一言一言には、過去の公民権運動に参加し、
倒れた人達のスピリッツが込められている。
政治家の演説には感動が必要だろうか。
いや、志や感動によって国民を動かすことができない政治家こそが問題なのだ。

編集長 尾中謙文

にほんブログ村 本ブログへ

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

ぼくの本棚247:現代世界解析講座 by 寺島実郎

2009.01.19 Monday

イスラエルのガザへの攻撃はまだ止まない。
アラブ人とユダヤ人の2000年以上に及ぶ戦いはいつになったら終わるのか。
世界中が行方を見守る中ふと不安になった。
この国際情勢の真実を知っている日本人は何人いるのか。
ガザが攻撃されているという事実は報道されているが、
何故なのか、という真実について知りたい日本人が少ないのは何故か。
疑問力のない教育の危うさが、いま日本全体を覆っている。
国会にしても、討議すべき大事なことを抱えながら、枝葉末節の小事ばかりで、
質問力の無い野党を歯がゆく思う国民も多いにちがいない。
本書は世界情勢に精通する解説者のスター的存在、寺島氏が金美徳、明石康、浅野史郎、
中谷巌、江川紹子、堀田力などTVでお馴染みの顔触れと世界潮流と日本のあり方を語っている。
問題意識を高め、社会を変えたいと考える貴兄には良書だが、
考えるだけで実行しなければ、世の中が変わらないことは真実だ。

編集長 尾中謙文


にほんブログ村 本ブログへ

Text by onaka

ぼくの本棚 | TB: 0

PAGE TOP

CHANNEL INDEX